たくどんの山歩き便り

ガチとまではいかない山歩きを発信します

風吹岳(長野県小谷村、標高1888メートル)を登る

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行程の概要

【移動標高】923メートル→1888メートル(差965メートル)

【山行時間】8時間45分

【移動距離】15.73キロメートル(GPS)計測

【天気】曇り→小雨→晴れ、微風

日帰りで登る、初夏と春と冬が共存する北アルプス峰へ

風吹登山口まで車では入れず…

5月末、北アルプスの一座、風吹岳を登る。

北登山口から風吹岳山頂までは4キロほど。

計画では、登山口までは車で行けるはずだった。

順調に林道を車で進んでいたが、登山口手前、3キロメートルのところで立ち往生してしまった。

土砂崩れと倒木だ。

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倒木でここから先は車でいけず…

3メートルほど垂直方向にジャンプできる車体(バットマンカー並のポテンシャルが必要だ)じゃないと、到底突き進むことはできない。

少し車をバックして、適当な路肩スペースを見つけ、そこを車のキャンプ地とした。

そこから北登山口までは、一旦下ってから登ることになった。

登山口に立って、初めて登山へのやる気みたいなものがみなぎってくるのに、山登りのスタート地点である登山口までの歩行は、なんとも言えない心持ちでダラダラと歩くことに。

それでも、5月の鮮やかな新緑に目をやり、渓流の音に耳を傾けているうちに、すこしずつテンションは回復していった。

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初夏を感じながら北登山口を目指す

登山開始、そして白い流れ

歩き始めて、1時間弱。

ようやく北登山口に到着だ。

登山口には、10台以上駐車できるスペースがある。

次来るときは、どうかバットマンカー級の車じゃなくても、ここまで来られますようにと切に願う。

 

フーっと一息ついて、ここからが山登りの本番だ。

落ち葉が敷き詰められた登山道は、足に優しい。

思えば、9時間近くの山行にも関わらず、この前鍬ノ峰を登った時よりも、筋肉痛の出具合は格段に軽い気がする。

落ち葉に隠れた木の根があるので、そこは注意は要する。

 

光に照らされて透き通った広葉樹の葉っぱの下を登ること20分、突如硫黄臭を感じる。温泉だ。

細めの道を進み、少し開けると、右下に白い川の流れが目に着く。

水しぶきが反射して白く見えるのではなく、おそらく温泉成分のせいだろう。

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神秘的な白い流れ

きれいな水に水芭蕉が咲く

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登山道が狭くなっているので慎重に進む

少し進むと、左側が崩れた箇所があった。ロープを補助的に使い、段差を上がる。

 

1300メートルを過ぎたあたりから、登山道に雪が現れた。

雪解け水で潤った湿地には、いくつか水芭蕉が白い花を咲かせていた。

純真無垢という表現が似合っている。

とにかく水がきれいなのだ。

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澄んだ雪解け水と水芭蕉

道に迷いそうになりながらも風吹山荘へ

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靄が出て道に迷いそうに…

残雪のせいか、登山道らしき形跡は見られず、何度か道を外れてしまった。

途中で靄があたりに立ち込めたことも原因だ。

頻繁に地図は確認すべき。

今はスマホさえあれば、GPSで自分の居場所を地図上ですぐに確認できるので、非常に心強い。

いずれGPSに頼らず、地図の読図で登れるようになりたい気もする。

 

風吹山荘までの最後の登りは、ほぼ雪の中を歩くことになった。

チェーンスパイクを持ってくるべきだった…

登山の山行中はなるべく後悔はしたくない。

次は準備万端にと誓う。

 

車を駐車したところから3時間40分で風吹山荘に到着。山小屋は3棟、そのうち1棟は管理棟のようだ。テント泊も可能だが、4張しか張れないらしい。トイレがあり、休憩できるベンチも設置されている。

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風吹山荘の営業はこれから

山小屋の周りは、まだ2メートルほどの雪が残っていて、ふきのとうや水芭蕉が自生している。そこから先は木道が敷かれていて、風吹大池を周遊することができる。池淵は、未だ凍っているようだ。テン泊して、早朝に池の周りを散策したら、どれだけ気持ちいいだろうか。

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冬の気配を残す風吹大池

登頂と北風大池の周遊

山荘から頂上までは20分ほど。わりと急な道をひたすら登っていく。

頂上には東屋があり、雨をしのいで休憩できる。北東方向に、木々の隙間から少しだけ展望があるくらいで、ほとんど景色は望めない。

 

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頂上からの展望と東屋

頂上で30分ほど休憩し、風吹大池まで下りて、反時計回りに周遊する。

雪で登山道を一度見失った。GPSを頼りに40メートルほど雪山を登って、登山道に戻る。

大池の西側には、科鉢池があるようだが、凍っていたのかよく確認できなかった。

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風吹大池の西側の風景

時計でいう7〜8時のところに、湿地帯が広がっている。眺めがいい。10分ほどかけて、木道に沿ってゆっくりと散策した。

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散策にもってこいの湿地帯

下山の頃には空がよく見え、日差しが戻り、暖かくなってきていた。雪道についているはずの往路のときの足跡は、溶けてもうなくなっていた。1時間半で登山口へ。そこからさらに1時間かかってようやく車にたどり着く。わりとくたくただ。

もう一度登ってみたいが…

今回は標高1000メートル弱を登ったことで、初夏、春、冬という季節のグラデーションを味わうことができた。紅葉を愛でに、もう一度秋に訪れたいが、林道の開通情報を確認してからにしようっと。

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初夏、春、冬を一度に味わう